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絵本作家 市居みかの日々あれこれ ichiipk.exblog.jp

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by ichiipk

あんのさんのしごと


先日、小雨の中、佐川美術館でやっていた「安野光雅展 ―あんのさんのしごと―」へ、やっと行ってきました。

無人島へ絵本を一冊持って行くなら・・・と考えた時に、思いつくのは安野さんの「旅の絵本」。
一人の旅人が、森や村や町をずっと旅して行くという、文字のない絵だけの絵本です。
美しく書き込まれた細かい景色の中に、いろんな人の人生や、ページを繰るごとに続いて行く物語や、いろんなものが詰め込まれた超名作です。
これをじっと見ていると、旅人と一緒に旅をしている気持ちになります。

あんのさんのしごと_b0120471_2342962.jpg


ああ、こんな村に住みたいなぁ。
これはパン屋さん、これは、歯医者さんか。。
あ、さっきの引っ越し荷物を積んだ車、この家に引っ越してきたんだ。
あ、こんなところにだまし絵が。

とか、いっぱい発見があります。
大人も楽しい、子どもも楽しい。

このシリーズは8冊も続いていて、最新刊は、日本の景色です。
安野さんのふるさと、津和野の景色、それも安野さんが子どもの頃の景色がたくさん入っています。

原画は本当に細やかに書き込まれていて、繊細な線にうっとり。。。
ああ、こんな細い線、淡い色彩は描いたことがないなぁ。。。
ほんと美しい原画でした。

いろんな国の街角でも、折りたたみイスをだしていつもスケッチしておられるようで、描いている動画を見ると、繊細な線でもけっこう早い。
そう、そうなんやな、と思いました。
きっと安野さんは描くのが早いんだろう、と。
ここが、ただの繊細な絵とは違うところだ、と思いました。
じっとり細かいのではなく、さらっと細やか。
うまく言えませんが。。。

展覧会冒頭の作者の言葉が、本当に素晴らしかったです。
うつしたものを持っていないので、うろ覚えですが。。。。

「旅の絵本、日本編は、ふるさと津和野の風景が入っています。
それも、電気のなかった頃の日本の風景です。
人間は自分たちで扱えないようなもので発電をして、美しい景色を汚してしまいました。そういう愚かなことはもうやめるべきです。
それが私たちが後から来る人たちのために残していくものでありたい」

というような内容だったと思います。(違っていたらごめんなさい)
美しい景色、人々の生活を楽しく描いた画家の心からの言葉だと思いました。
初日の澤地久枝さんとの対談、ほんとに聞きたかったな。

帰りの車の中から見る、琵琶湖沿いの景色、釣りをする人や船にのる人、なんだか安野さんの絵のように見えました。

安野光雅展 ―あんのさんのしごと―(9月1日まで)
http://www.sagawa-artmuseum.or.jp/plan/2013/05/post-29.html
by ichiipk | 2013-08-28 23:45 | 遠出